安全文化醸成
安全文化醸成への取り組み
安全文化醸成
■Foster a Safety Culture
1973年の創業以来、当社は内航コンテナ輸送専門業者として、「挑戦」の精神を原動力に、船隊の整備や航路の拡充を進め、物流を通じて社会に貢献してまいりました。しかし近年、深刻な船員不足の影響を受け、岸壁への衝突や本船の沈没といった重大事故が相次ぎ、社会の皆様に多大なるご迷惑とご心配をおかけしました。
このような状況を真摯に受け止め、当社は経営方針を「輸送量・輸送力の拡大および航路拡充最優先」から「安全最優先」へと全面的に見直しました。全社員および運航船の船機長・乗組員が一丸となって安全文化の醸成に取り組み、事故災害の防止と安全運航の実現を目指します。ついては、以下5つの重点施策を柱に、安全への取り組みを強化しています。
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1.安全最優先の企業風土の確立
全社員に対する安全意識の啓蒙を行い、安全文化を醸成する。 -
2.コミュニケーションの活性化
乗組員・船主・船舶管理会社・荷主および関係各社とのコミュニケーションを強化し、一体感を持って安全性向上に取り組む。 -
3.決められたこと、やるべきことは必ず行う企業風土への転換
PDCAを遂行することで、自浄体制を強化する。 -
4.ボトムアップの体制の強化
社長の強いトップダウンから、ボトムアップ体質へと変化を図り、立場に関係なく意見ができる企業とする。 -
5.心理的安全性の高い組織の構築
社長主導のもと、安心して意見交換ができる職場環境を整える。
■運輸安全マネジメントチームの結成
当社では、安全運航の確保および事故・災害の未然防止を目的として、部署を横断した専門チームを編成し、月に一度「安全定例会議」を開催しています。この会議では、当社運航船で発生した事象の情報共有や傾向分析を行い、必要な対応策について協議・指示を実施。継続的な取り組みにより、組織全体で安全意識を高め、健全な安全文化の醸成を図っています。

4大災害の防止「4ゼロ」の制定
当社では、衝突・人身・油濁・貨物の4つの事故防止を掲げ、4大災害の防止(通称:4ゼロ)を恒久安全目標として制定しました。
この4つの目標に加え、前年度に一番多かった事故要因の防止活動を重視した「重点活動目標」を掲げ、注意喚起を目的とした事故事例展開などの活動を展開しています。

運航船船員へのBRM・ERM講習の実施
当社では、2025年度より、全運航船の船員を対象に「BRM(Bridge Resource Management)」および「ERM(Engine-room Resource Management)」の教育を実施しています。この取り組みは、船主様や配乗会社様と連携しながら、船員一人ひとりのスキル向上とマネジメント力の強化を図ることで、安全を最優先とする運航体制の確立を目指すものです。今後も、現場力の向上と安全文化の定着に向けて、継続的な教育・支援を行ってまいります。
安全講習の実施
ドック入渠時、または仮泊時を利用して、当社の経営陣、オペレーションを担当する運航部、保全管理を行う工務部、安全推進を行う安全監査室により、それぞれの視点から見た課題の共有、事例展開、定時性に向けた対策などの講習会を開催しています。
また、乗組員の皆様との意見交換を行い、オペレーションの対応向上や、現場の実情とのマッチングを踏まえた上で安全管理を行います。
井本商運は、船主として、船員派遣会社として、そしてオペレーターとして、安全運航を見つめ続けます。
年度表彰の実施
その年度における無事故・無違反を対象とした「安全表彰」と、その中でも安全運航・安定輸送への取り組みが突出している対象船を表彰する「優秀船」「最優秀船」を独自に設けています。
受賞船に対しては、船友会にて管理会社を表彰すると共に、本船へは、代表取締役社長の井本隆之が直接訪船し、船内を見学した後、盾と表彰状を授与します。
訪船による連携強化
当社では、陸上社員と運航船の船員とのコミュニケーションをより深め、現場の声に迅速かつ的確に対応することを目的として、「訪船チェックシート」の内容を簡素化・改善いたしました。
また、船員側から訪船者に対して意見を伝えるための「訪船チェックシート(本船用)」も新たに導入。これにより、双方向の対話を促進し、現場の課題や要望をより正確に把握できる体制を整えています。
毎月開催される安全定例会議では、訪船を通じて寄せられた意見をもとに、必要な対応策を協議・実行。こうした継続的な取り組みにより、相互理解を深め、安全文化のさらなる醸成を目指しています。